育児に追われる毎日の中で、家全体をピカピカに保つのは至難の業です。特に、心身ともに疲れ切っている時には、散らかった部屋を前に途方に暮れてしまうこともあるでしょう。しかし、完璧を目指す必要はありません。大切なのは、赤ちゃんが多くの時間を過ごす場所だけでも、安全を確保すること。家の中に小さな「安全地帯(セーフティゾーン)」を作ることから始めてみませんか。まず、目標を極限まで小さく設定します。今日の目標は「ベビーベッドの周り半径1メートルだけ片付ける」あるいは「リビングのプレイマットの上だけモノをなくす」といった、数分で完了するレベルで十分です。この小さな成功体験が、「私にもできる」という自信を取り戻すきっかけになります。安全地帯を作る上で最も優先すべきは、赤ちゃんの誤飲や怪我に繋がる危険物を取り除くことです。タバコ、薬、電池、硬貨、化粧品といった小さなモノは、赤ちゃんの目線になって徹底的にチェックし、蓋付きの箱に入れるか、手の届かない高い場所へ移動させます。床に落ちているビニール袋や、コード類も窒息や首に絡まる危険があるため、すぐに片付けましょう。次に、ホコリやカビの除去です。安全地帯に定めたエリアだけでも、ウェットシートで拭き掃除をしたり、掃除機をかけたりします。毎日完璧にできなくても、週に数回行うだけで、アレルギーのリスクを大きく減らすことができます。モノを減らす際は、「捨てる」という判断にこだわらないことも大切です。「保留ボックス」を作り、迷うものはとりあえずそこに入れておけば、片付けのスピードが上がります。まずは、赤ちゃんが安心してハイハイしたり、お昼寝したりできる一畳分のスペースを確保すること。その小さな聖域が、あなたの心にも余裕と平穏をもたらしてくれるはずです。