ゴミ屋敷に住む人々が物を捨てられない大きな理由の一つに、「もったいない」という感情があります。この感情は、日本の伝統的な価値観とも深く結びついており、物を大切にすること、無駄をなくすことは美徳とされてきました。しかし、この「もったいない」という感情が過剰になると、物を捨てることができなくなり、ゴミ屋敷化を招く可能性があります。まだ使えるかもしれない、修理すれば使えるかもしれない、いつか何かに使えるかもしれない、という思いが頭から離れず、実際には使う予定のない物まで溜め込んでしまうのです。また、「もったいない」という感情の背景には、過去の貧困体験や、物を大切にするように厳しく育てられた経験などが影響している場合もあります。さらに、物を捨てることに対する罪悪感や、物を無駄にすることへの抵抗感が、捨てられない行動を強化していることもあります。この「もったいない」という感情を克服するためには、物の価値を客観的に見直すこと、そして、本当に必要な物だけを残すという意識を持つことが重要です。ゴミ屋敷に住む人々の中には、物を捨てることで、過去の思い出や感情を失ってしまうのではないかと恐れる人がいます。特に、写真、手紙、記念品など、特定の出来事や人物と結びついた物は、単なる物以上の意味を持ち、捨てることが非常に困難になります。これらの物は、過去の自分自身や、大切な人との関係を象徴する存在であり、捨てることは、それらの記憶や感情を否定することにつながると感じてしまうのです。また、過去の栄光や成功体験を象徴する物も、捨てることが難しい場合があります。例えば、賞状、トロフィー、仕事関連の資料などは、過去の自分の努力や成果を証明するものであり、捨てることは、自己肯定感を失うことにつながると感じる人もいます。これらの思い出の品を整理するためには、まず、一つ一つの物と向き合い、本当に大切な思い出は何なのか、じっくりと考える時間が必要です。そして、写真やデジタルデータとして保存できるものは、形を変えて残すことも検討しましょう。